「木材について③ ―KITOKURASの木材―」
「木と暮らす」という名前を付けたのは、
共に暮らす相手を選ぶように
木を選んでもらえたらという思いがあったからです。
私たちが共に暮らしたい木の話です。
KITOKURASの木は、次の3つのこだわりを持ってご用意しています。
① 無垢であること
無垢材の良いところは、木が本来持っている、粘り強さや香り、木目をそのまま、使えること。
また、集成材に比べて生産時にかかるエネルギー消費量を抑える事ができます。
また、年数を経た時の、集成材の割れと、無垢材の割れの入り方にも私たちは注目しています。
無垢材は、木材の中心部分と周りの部分で、収縮率が異なるので、
木の芯に向かって割れが生じますが、それが貫通することはほとんどありません。
集成材の場合、最初の強度を一定に保つ力も、ある意味接着剤の力と言えることもあり、
接着剤が老朽化すると、貫通割れを起こし、パカッと割れてしまう可能性があります。
また、調湿作用を持つ木ですが、糊の層で木の呼吸(調湿作用) はストップしてしまい、
住宅となった時に住宅自体が呼吸の出来ないものになってしまいます。
接着剤に含まれるホルムアルデヒド等の成分もアレルギーの原因として心配です。
② 無垢の木を自然界にある温度で乾燥すること
高温で人工乾燥すると、水分と一緒に樹液も一緒に出て行ってしまうし、
表面に割れがほとんどなくても、中の繊維はパサパサにささくれ立っていて、
我々材木屋としては、木の粘り強さの面で不安があります。
また、木のよい香りも炭の匂いに変わってしまいます。
環境面から見るとせっかく木の中に固定していた、二酸化炭素を空気中に放出してしまうことにもなります。
(木は燃やさない限り、その中に二酸化炭素を貯めておくことができる、缶詰のような素材なのです)
③ できるだけ高齢樹であること
百年かけて育った木は、百年以上使えると言うように、
木の年齢と強度や、耐久性は比例するところがあると言われています。
法隆寺の柱などを見ると、長い月日を耐えるため目の細かい高齢樹の材を使っています。
杢目の美しさも目を見張るものがあり、( 美しい杢には名前がつけられる程です)
先人の経験や知恵、美意識の高さを伺うことができます。
二、三十年前は挽きたての
無垢材( 何もしてないそのまんまの木) しかありませんでした。
それは、法隆寺の昔から変わらなかったことです。
わたしたち日本人は千年の時を超えて、
強くて美しい建築物を創り、
その豊かさを享受してきました。
しかし、現在の生産性とクレームの来ないものづくりを重視した
工業製品化された木材では、
千年は愚か、百年を超えることも不可能です。
因みにイギリス140年、アメリカ103年、フランス86年、日本25年。
これは、現在の住宅の平均寿命の比較です。
( 環境省「地球環境局パンフ」より)
私たちは、僅か20年程で千年の間先人達が積み重ねて来た知恵を
捨ててしまうことになるのでしょうか。
さらには、この材は処分するにも
環境に負荷を与えてしまいます。
処分をすることになるのは、
私たちの子供でしょうか、孫でしょうか。
これでは、木の使い方があまりにもったいない。
知恵と技術を脈々と伝え繋いできた先人にも、未来のこどもたちにも申し訳ない。
そのように私たちは考えており、
まずは材木屋として、木のことを皆さんにお伝えすること、
そして、無垢の木の持つ本来の良さをうまく引き出し、
木も人も深呼吸ができ、
たのしく、暮らしの中へいかせる家づくりや家具づくりの
お手伝いができればと考えています。
どうか、一緒に未来のことを考えてください。
今だけじゃない、
未来にもいいものを。